超音波洗浄機について
超音波は、複雑な形状のもの(手が届きにくいもの)・微細な汚れ(細かい汚れ)の洗浄に最適です。
超音波洗浄は研究機関や半導体産業など高度な洗浄を要求される分野で実績のある洗浄方法です。目に見えない、手の届かない汚れを落とすには超音波洗浄が最も優れています。
超音波洗浄には除菌効果があります。またいくら殺菌しても細菌の繁殖場所になる汚れが落ちず残っていては細菌の繁殖を抑制できません。微細な汚れまで除去できる超音波洗浄は衛生管理を要求される洗浄物に最適です。
当社ではスタンダード品の他にもお客様の用途に合わせたオーダーメイド(特注品)も承っております。
- 強力洗浄
- 均一洗浄
- 簡単操作
- 作業時間短縮
超音波洗浄機の効果について
超音波は物体に当たると反射する他に屈折して内側に通り抜ける透過という現象を持つので手の届かない配管の内面などを洗浄することができます。配管やフィルター、各種ジグなど手洗いでは汚れが取りきれないものや、傷つけてしまう物の洗浄に最適です。
- 用途例
- 金属配管
ステンレス製フィルター
ガラス製品(ビーカー・ピペット・フラスコ・試験管等)
超音波洗浄は複雑な形状の物の洗浄にも有効です。
超音波の屈折・透過現象を利用することで、曲がりくねったパイプや複雑な形状のバルブなども内外を問わず汚れを落とすことが可能です。エッジ部やブラシが届かない屈曲部などにも超音波が有効に作用し、斑の少ない洗浄を可能にします。
- 用途例
- 充填機・サニタリー配管・ストレーナー・フィルター
バルブ・ノズル等
超音波洗浄
超音波洗浄はキャビテーション効果・加速度・直進流の3つの相乗効果により行われます。キャビテーション効果は、キャビテーションによる衝撃波を利用して汚れをワークから剥離させます。剥離した汚れを加速度により引き剥がし、直進流により分散除去させます。
キャビテーション効果
キャビテーション効果は超音波により液体に生じた真空の気泡が破裂することにより生じた衝撃波を利用した洗浄方法です。液体に超音波を照射しますと、液体が激しく揺さぶられて局所的に圧力が高い部分と低い部分が出てきます。圧力が低くい部分では液体中に小さな真空の空洞ができます。これをキャビテーションといいます。再び圧力が高くなり、この空洞が押しつぶされるとき、液体中に衝撃波を発生させます。この衝撃波が、固体表面に付着していた汚を剥離させます。
- 加速度
- 超音波の振幅により液体分子が激しく振動します。キャビテーション効果により剥離した汚れを引き剥がす効果があります。
- 直進流
- 振動板よりの放射圧により、超音波の入力が0.5W/c㎡以上で直進流が発生します。水槽内でわずかな水流が発生する為、汚れを洗浄物から除去する効果があります。
除菌効果
超音波はミクロの世界では強力な力を発揮します。超音波を水中に照射しますとキャビテーションが発生します。このキャビテーションがつぶれるとき強力な衝撃波が発生します。この衝撃波は洗浄物から汚れを引き剥がすとともに、細菌類の細胞膜を破壊し大幅に減少させる効果があります。
超音波洗浄時間 | 大 腸 菌 (菌 数) | 黄色ブドウ球菌(菌 数) |
---|---|---|
0秒 | 7.1×106 | 3.2×106 |
30秒 | 1.9×103 | 6.1×105 |
60秒 | 3.5×102 | 4.5×102 |
平成11年1月22日 財団法人千葉県薬剤師会検査センターにて試験 分析試験結果書
周波数の選定
超音波洗浄は用途に応じて発振周波数を選択する必要があります。
ステンレスなど各種金属製品(アルミを除く)の洗浄、重量物の洗浄など、強力洗浄が必要な場合、20KHz・28KHz帯など低い周波数を選択します。精密部品・ガラス製品・プリント基板など超音波によるダメージが予想される物は40KHz帯など高い周波数を選択します。50KHzを超えますと超音波洗浄の効果が無くなります。(半導体用途を除く)当社では両者の特徴を生かした28KHz帯の周波数の製品をメインとしております。
周波数による用途 | |
---|---|
20KHZ | ステンレスなど各種金属製品(アルミを除く)の脱脂・洗浄 |
28KHZ | ステンレスなど各種金属製品(アルミを除く) の脱脂・洗浄 ガラス製品・セラミック製品・陶器・鋼質プラスチック・メラミン樹脂等 |
40KHz | アルミ製品などの脱脂・洗浄 ガラス製品(光学レンズ・ガラス基板) プリント基板 |
100KHz以上 | ガラス基板・光学レンズ・シリコンウェハ |
超音波洗浄機においては振動板から離れれば離れるほど、洗浄液やワークによる超音波の減衰により洗浄効果が乏しくなります。この現象は周波数が高いほど顕著に表れ、周波数が低いほど振動板から遠くまで洗浄が可能になります。以下は振動板へのダメージなどを考慮した各周波数における洗浄可能範囲をあらわしております。例えば20KHzの場合最低300mm~1000mmの範囲での水槽液深設定を推奨するものです。
イメージのため、実際の波長とは異なります。
揺動板について
当社では2種類の揺動板を使用しております。
- 磁歪フェライト振動板
- 磁歪型振動板は、低コストで簡便な回路の発振器で運転することが可能です。回路がシンプルですので効率よく、電気を超音波に変換することが可能です。但し、振動子の力が弱い為、厚手の振動板には使えません。また、接着材を用いる為、耐熱性、耐久性は電歪型振動子に劣ります。
用途:一般用・学校・研究機関
- 電歪BLT振動板
- 電歪振動板は、耐久性が高く(板厚3mm)接合には、M10のボルトを振動板に直接溶接し更に、そのボルトに振動子をねじ込む方法をとります。耐久性、耐熱性(MAX100℃)に優れた振動板です。長時間の連続運転や、厳しい条件での使用に耐える構造になっております。但し振動板、発振器共にコスト的には高くなります。
用途:工業用・業務用